博多電光

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「手牌公開・鳴き強制麻雀」のルールと定石紹介

※この記事は TSG Advent Calendar 2021 の3日目の記事です。

博多市です。

今回は最近TSG内で発明され流行している「手牌公開・鳴き強制麻雀」という変則麻雀について紹介します。

ルール

「手牌公開・鳴き強制麻雀」は、名前の通り手牌を全てのプレイヤーに公開した状態で行う麻雀です。

通常の麻雀と違い各プレイヤーが持つ情報に対称性があるため、相手の行動から情報を推測する「読み」よりも、現在の状況からどのように戦略を立てるかが重要になります。鳴き強制のルールにより他家を攻撃することができるため、対人戦略が非常に重要な要素となります。このようにプレイ中の思考が通常の麻雀と大きく異なることから、TSG内では専ら「もはや麻雀ではない」という評判です。

ちなみに、かつてにじさんじで行われていた「鳴き強制麻雀」を知っている方には、これに「手牌公開」のルールを加えたものだと思って差し支えないです。

詳細なルールは以下の通り。

  • 全てのプレイヤーは配牌から流局まで常に手牌を公開する。
  • プレイヤーは、ポンやチーなど、副露できる状態ならば必ず副露しなければいけない。
    • 鳴き方に複数の選択肢がある場合、どのように鳴いてもよい。 (ポン・チー・カンのいずれを選ぶか、どの形でチーするかなどが含まれる)
  • 喰い替えは禁止。
    • 喰い替えしかできない局面では鳴き強制のルールは適用されない。(2344所持で上家に1が切られた場合など)
  • 暗槓・加槓も同様。カンできる状態ならば常にカンをしないといけない。
    • 明槓の場合、カンをするかポンをするか選ぶことができるが、強制加槓のルールがあるので多くの場合一巡後には加槓することになる。
  • 栄和も同様。ロンできる状態ならば常にロンしないといけない。
    • その他の鳴きができる場合はそれを選んでもよい。
  • 手牌が鳴ける状態なのに適切に鳴かなかった場合、錯和となる。
    • 雀魂使用時はアガリ放棄、対面なら満貫払い程度が適当かと
  • 喰いタンあり。
  • その他のルールは通常の麻雀のルールに準じる。

定石集

以下では実際に対局中に発見されたこの麻雀における定石のようなものを紹介します。先ほど述べた通り、この麻雀には特定のプレイヤーに妨害を与える「攻撃」と、妨害を受けないようにするための「守備」の2つの技が存在します。

攻撃編

喰い替え禁止による聴牌崩し

この麻雀における攻撃とは、鳴き強制のルールを利用して自分の捨て牌を他家に鳴かせることにより、相手の手牌の向聴を戻す、あるいは役を崩させる行為が中心となります。このとき重要になってくるのが通常の麻雀にもある喰い替え禁止のルールです。

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上の画像の局面では、下家が嵌五索で聴牌しておりロンできる状態です。打点も高く、なるべくなら和了らせたくないところです。

この状態で自家が六筒を切ると、下家はチーできる状態なので必ずチーしないといけなくなります。チーしたあと、下家は聴牌が取れるよう六筒を切りたくなりますが、この六筒は今鳴いた牌なので喰い替え禁止により切ることができません。下家は聴牌を崩すことを余儀なくされ、手が大きく後退します。このように相手の完成された面子に対して鳴ける牌を放り込むことによって相手の手を崩すことができるのがこの麻雀における基本的な攻撃手法になります。

喰い替え禁止による強制放銃

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より攻撃的なパターンもあります。この局面では上家の当たり牌を下家が握っています。このような場面では、567筒のいずれかを自家の河に投げ込むことで下家は一筒を切る以外の選択がなくなり、強制的に放銃させることができます。「差し込み」ならぬ「差し込ませ」といったところでしょうか。

攻撃と防御のバランスをどう取るかにもよりますが、このように自分の手牌が短い時に他の人の当たり牌を握ってしまった時には、敢えて面子を崩しておくなどの対策が必要な場合もあります。

防御編

四槓流れを用いた強制流局

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鳴きが多く発生するこの鳴き強制麻雀においては、四槓流れが非常に多く発生します。

自分の手牌がどうやっても和了れない状態になったら、暗刻を持っているプレイヤーにその牌を差し込んで強制的に流局させることができます。逆に言えば、自分の手が仕上がっている時に迂闊にこのような牌を切って流局にならないよう気をつける必要があります。

基本役

この麻雀では鳴きがポンポンと飛び交うので、通常の麻雀における「門前で仕上げて立直」という基本戦術は使えません。基本的には門前を放棄しても成立する役を作り、ドラで攻撃力を嵩増ししてツモるのが大まかな方針となります。

このゲームにおける基本的な和了形には、「タンヤオ型」「染め手型」「役牌型」の三種類が存在します。

タンヤオ

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この手牌公開・鳴き強制麻雀において、現在のところ最もスタンダードな和了り方が喰いタンです。

副露しても和了れる最も手軽な役ということで、このゲームの初心者にとっては最初に目指すべき手作りと言えるでしょう。このゲームでは安牌などを気にする必要はないので、最初に么九牌を落としてしまい、役を確定させながら進めていくのが基本戦略となります。打点は少ないですが、ドラが交じると満貫くらいまでは和了れるかもしれません。

タンヤオ破壊

このように手組みしやすいタンヤオですが、攻撃するのも比較的簡単です。特に序盤の么九牌がまだ整理できていない状態で么九牌を投げ込むことで強制的にタンヤオ和了れなくすることができます。

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上の状況では下家が78索を手牌に抱えており、自家は九索を投げ込むことで下家の手牌を破壊できます。下家はチーした後に和了れそうな役がほぼないので、大きなハンデを負うことになります。

タンヤオ破壊に対する防衛術

このようにタンヤオ和了りに行くと基本的に他のプレイヤーの妨害を受けるため、プレイヤーは常に闇のタンヤオ破壊に対する防衛として、手牌を破壊されない形に保つことが重要です。

例えば12筒、23筒、13筒、123筒などのように端牌が絡んだ塔子を抱えていると、上家からの強制チーによって手牌が破壊されてしまいます。なのでタンヤオを狙いに行く場合は序盤はこの形をなるべく嫌って、たとえ向聴を戻してでも河に流していくのが基本戦術となります (上家の手牌を確認して破壊されそうなものを優先して落としていきましょう)。

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ただし、画像のように124や134といった鳴き方を選べる形になっている場合は落とす必要はありません。

染め手形

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染め手は序盤の立ち回りが難しいですが、一度染まってしまえば防御力はピカイチです。限られた色の中ならどんな形でもキープすることができ、有効牌をめいいっぱい広く取ることができます。

ただし、通常の麻雀と同じく鳴きの入った混一色 (いわゆる「バカホン」) は決して攻撃力が高くないので、なるべくならドラや役牌などを絡めて手牌を固めたいところです。

役牌型

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役牌の後付け、あるいは後々付けを期待して手牌を進める戦法です。他の戦術のように数牌の形や色に制約がないため数牌を自由に手作りできるのが特徴です。

ポンしてうまく役を確定できれば強い戦術ですが、特に上級者同士の対局では対子になっている役牌を他家に止められる可能性が高いため、どちらかというと防御気味に構えた戦法といえるかもしれません (このゲームでは和了率が通常の麻雀よりも低いので、他人が対子で持っている役牌をツモったときには、多くの場合抱えてしまったほうがよいです)。

役牌が暗刻になったらラッキー。残りは普通に麻雀すれば勝てます。

役牌崩し

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誰かが役牌を対子で抱えている場合、他家は攻撃として強制四面子による役牌崩しを発動することができます。

役牌が重ならないまま四面子目を鳴きで作らされた場合、役牌で刻子を作れなくなるため、役が消失します。これを発動されると裸単騎になって攻撃力も防御力も激減するため、なにかしら (可能な限り別の役を作っておくなどして) 対策したいところです。

その他の役

  • 嶺上開花・海底撈月: 強制鳴きによって役がなくなってしまった人たちが最後に頼る偶発役です。カン材も海底ツモもない場合は完全に詰みです。
  • 搶槓: 基本的には偶発役ですが、自分が役なしの和了り形を完成させた時に他家の暗刻牌を切って、相手がなにかの間違いでポンしてしまったら和了れるかもしれません。
  • 対々和: 基本役に準ずる強力な役です。配牌に対子が多い場合は検討してもいいでしょう。強制チーによる妨害を防止するために手牌から塔子を落としておくのを忘れないようにしましょう。
  • チャンタ: 原則として他家はタンヤオ妨害のために么九牌を鳴かせようとしてくるため、それを逆手に取ってチャンタ和了ることもできます。ただしタンヤオと同じく妨害されやすいので手牌の形には注意しましょう。
  • 一気通貫三色同順: 強制チーで壊されるので、狙って作るのは難しいでしょう。作れたらラッキー、くらいに思うのがよいです。

ルールの改良案

飜数の見直し

このルールにおいて、平和・立直・一盃口など門前でしか成立しない手は非常にレアです。特に七対子は強制ポンによって全方位から集中攻撃を受けるため、TSG内では「成立したら実質役満」との呼び声も高いです。

なので鳴き強制麻雀では門前役に対する何かしらのボーナスをつける、あるいは一盃口などの役を鳴いても和了れるようにするなどの修正が必要かと思います。

放銃に対するペナルティの強化

このルールでは他家の手牌が全て見えているので、基本的に放銃は起こりません。このため当たり牌を握ったままどのように手作りをするか、あるいはどのように他家に強制的に放銃させるかという戦略が重要になります。逆に言うと放銃することに対する何かしらの罰則や罰符を設けることも考えられると思います。また、差し込み防止の観点からも、オープンリーチに対する放銃と同様に放銃のペナルティを強化するのが適当かと思われます。

十二落拾の採用

十二落拾は裸単騎を1飜役として認めるローカルルールです (雀魂にもローカルルールとして採用されています)。このゲームでは強制鳴きによってどうしても役が作れなくなった場合ほぼ確実に和了れなくなるため、そのような人に対する救済として採用してもいいかもしれません。これによって「鳴き込みで成立する役を目指す」という基本戦略が必要なくなるためゲーム性が大きく変わることになりますが、これはこれで別の戦略が発生するので面白いかと思います (四副露目は鳴かせない戦略を取るなど)。

三人麻雀

プレイしたことはないですが、三人麻雀で同様のルールを試しても面白いかもしれません。チーがないぶん攻撃の手数が少なくなるので、おそらくより手組みがしやすいルールになるのではないかと思われます。