5年間アルバイトを勤めたピクシブ株式会社を退職します
誰?
博多市 (@hakatashi) です。
主にフロントエンドを好むエンジニアです。
大学4年生です。たぶん今日で学生終了です。
何してた?
アルバイト入社以来いろんなチームを転々としながら、フロントエンドを中心にWeb開発を行っていました。
- pixiv
- pixiv小説
- pixiv小説モバイル
- pixivコミック
- pixivノベル
- pixiv Sketch
- pixiv Sketch Live
エンジニアとして社のブログもいくつか書きましたが、こうして並べて見ると何してるエンジニアなのかかなり不明です。
ピクシブはどうだった?
アルバイトとしてのpixivの5年間は、ひとえに「幸福」の一語に尽きます。
5年前アルバイトとして入社したとき、自分は謙遜抜きで未熟なプログラマーでした。当時書いていたコードを今見返してみるとまさに物の道理を知らないプログラマーの児戯といった風情で全く恥じ入るばかりです。
それから5年、pixivでのアルバイトの経験は僕に様々なことを教えてくれました。開発における心構え、プロダクトを作るということの如何を学びました。1人で開発しているだけでは決して得られないイベントの経験を何度も得ました。技術に秀でた貴重な知人を得ました。pixivは僕を育ててくれました。
もしも今の自分を、すごい、優秀だと褒め称してくださる方がいるなら、おそらくその半分以上がpixivという環境のおかげです。感謝が尽きることがありません。
加えて、「創作文化を尊重する」という点にかけても、pixivは自分にとって非常に心地よい空間でした。
「創作活動がもっと楽しくなる場所を創る」という企業理念に違わず、pixivはインターネットの創作文化を支援するにかけて実利的に日本で最も寄与する企業であると考えています。のみならずそれを構成する社員の一人ひとりも一次創作、二次創作を問わず創作文化を愛する同士であり、その証左に「お絵かきブートキャンプ」などの取り組みも積極的かつ自主的に行われています。自分もまたpixivのヘビーな閲覧ユーザーで創作を愛する自負があり、かるが故にpixivでの業務は常に指針として己の欲するところを為すものでした。巷では創作者を理解する心なきようにpixivの運営主体を扱い謗る風評も時として罷り通っていますが、その内実からすればとんでもない話です。
なぜやめる?
大学卒業につき他社に就職を決めたためです。
就職先については大いに悩みました。もちろんピクシブからもオファーを受けていました (それも好条件で) が、最終的に他社を選択したのは、それがより自分にとって厳しいものであると思えたためです。
思えばこれまでの人生の岐路において、自分は常に厳しい道を選択したと思います。大学を選ぶにおいても内部競争の激しいところを選び、学科選択においても一度内定した学科を蹴りわざわざブラックと名高い学科に進学したりしました。
狭き門より入れ、艱難汝を珠にす――とは、敢えて言いません。実際僕はこの選択によって多くの「不利益」を蒙りました。大学の学科振り分けに際しては幾度となく躓き最終的に3回も留年を重ねる羽目になり、一時は真面目に退学を考えました。先日の報告のとおり無事卒業を迎えることができましたが、自己研鑽の意味においても本学を選んだことは必ずしも妥当な選択ではなかったと、今ではそう思います。
しかしそれでも、事ここに至って再度「過ち」を繰り返そうとするのは、自分が安寧な環境において何かを成せる人間だと思えないからです。僕は人より幾分か長い大学生活の中で、深い絶望の底でしか紡げない文学があることを知りました。劈く耳鳴りの中でしか鳴らせない音楽があることを知りました。これはエンジニアリングの道においても同じだと思います。大業成すには死狂いなるべし。水の流れていればこそ鯉が滝を登るように、とりわけ自分のような白面郎には常に自らをタフな環境に置くことこそ重要だと考えました。
創作の庭からは、一旦離れることになります。先に述べたとおり自分にとって創作文化とは著しい傾慕の情を惹起させるところ、その一助に自分も加われないことに後ろ髪を強く引かれる思いですが、またいつかと割り切って差し当たり道を分かつことにします。もしかしたらとんぼ返りなんてことになるかもしれないですし。
今後は?
今春から Google Japan にソフトウェアエンジニアとして就職する予定です。チームは Google Maps 関連になる予定です。と言っても、コロナウイルスの影響でまだしばらく仕事がないようですが⋯⋯。
CTFや同人誌の執筆などの個人活動は継続する予定です。大学は卒業しますが TSG CTF 2 もたぶん開催します。
最後に改めて、pixivでお世話になった多くの方々に感謝いたします。狭い業界、またどこかで会いましょう。ありがとうございました。